2023.3.29

【ヴィクトワール広島】ツール・ド・台湾レースレポート

3月12日〜16日、プロ自転車ロードレースチーム・ヴィクトワール広島が台湾を舞台に行われたレース「ツール・ド・台湾」に出場しました。チームにとってはこれが初めての海外遠征。チーム発足9年目、国際レースへの出場権を得るべくUCI(国際自転車競技連合)に初めて登録してから4年目にして、ついに念願が叶いました。

ステージ上で紹介されるベンジャミン・ダイボール選手、カーター・ベトルス選手、阿曽圭佑選手
(写真:ツール・ド・台湾)

ヴィクトワール広島、台湾にて斯く戦えり

自転車ロードレースには、1日で終わる「ワンデーレース」と、数日間にわたって開催され、1日1レースが行われる「ステージレース」があります。ステージレースは、その日(ステージ)ごとの順位と、全ステージのトータルタイムによる総合順位で争われるため、ワンデーレースとはまた違った戦略が必要。観戦の面白さも広がります。

▼より詳しいロードレース解説はヴィクトワール広島HPで
https://victoirehiroshima.com/roadrace/

ツール・ド・台湾は、首都・台北市を皮切りに5つの都市を転々としながら行われる5日間のステージレース。ヴィクトワール広島からは、阿曽圭佑選手、ベンジャミン・ダイボール選手、カーター・ベトルス選手、レオネル・キンテロ選手、中田拓也選手の5名が出場しました。

左からキンテロ選手、中田選手、阿曽選手、ダイボール選手、ベトルス選手、中山卓士監督

序盤からハイスピードなレースとなった初日(Stage1、1週10.4km×8周=83.2km)は、思った通りの勝負はできなかったものの、終盤で明日以降につながるチームワークが見られ、収穫アリなレースでした。
後半に3つの山がある桃園市での2日目(Stage2、12.59km)は、中田選手のアシストが光る場面もあり、カーター選手がチーム内最高位の20位でゴールしました。

浪漫市での3日目(Stage3、158.50km)は終盤まで激しい主導権争いが続き、出場選手中20名がDNF(途中棄権)となる厳しい戦い。チームはカーター選手の28位が最高で、キンテロ選手と中田選手がここでレースを降りることとなりました。

山がメインとなるコースで、2度のキツい登りがある南役市でのStage4(169.34km)は、ダイボール選手が果敢にアタックし、残り300mまで先頭をキープしていたものの、ステージ優勝はならず。カーター選手の12位がチーム最高位でした。

前半は上りが続く山岳コースとなった高雄市での最終日(Stage5、149.39km)。アシストに回った阿曽選手も含め3選手による健闘の結果、ベトルス選手が総合16位、ダイボール選手が総合21位で、オリンピック代表選出等の基準にもなる「UCIポイント」を獲得しました。

5日間を通してハイレベルな走りを見せてくれたベンジャミン・ダイボール選手(写真:ツール・ド・台湾)

悲願の海外遠征

チーム発足当初から「広島から世界へ」を合言葉に海外で戦うことを目指していたヴィクトワール広島。UCIコンチネンタルチームとして初めて国際登録したのは、2020年シーズンでした。2019年の夏頃から準備を始め、数々の手続きを踏んで登録完了をしたすぐあと、パンデミックが世界を飲み込みました。チームは国際レースに一度も出場することなくシーズンを終え、夢の海外進出は「おあずけ」のまま時が過ぎました。

中山卓士監督は、9年越しに実現した記念すべき第一歩を静かに振り返ります。

「やっと夢が叶いました。特にツール・ド・台湾は、母が台湾出身ということもあり思い入れが強かったので、ずっと出たいと思っていたし、そこで総合優勝なんてできたらいいなと思っていました」

前回大会の総合優勝は、ベンジャミン・ダイボール選手。ディフェンディングチャンピオンを携えて、今回も総合優勝を目指して大会へ臨みました。

「参加していたのは15ヶ国21チーム。世界トップクラスのチームも来ていて、とてもレベルの高いレースでした。総合優勝に向けて力で押し切ろうとしましたが、各チームがとても強力で、戦いきれませんでした。ただ、ベン(ダイボール選手)が第4ステージで大逃げをかまして4kmくらい1人で引いたりして、総合優勝まであと少しという力は見せてくれたし、このレースがあったからこそ、次のTOJやツール・ド・熊野につながっていくという手応えを感じました。いい試合でした」

 (写真:ツール・ド・台湾)

狙い通りのパーフェクトな結果ではなかったものの、監督曰く「チームの雰囲気はとても良い」そう。

実際、台湾から帰国直後の西日本チャレンジサイクルロードレース(3月19日、三原市・広島中央森林公園)ではベトルス選手・ダイボール選手がワンツーフィニッシュを決め、久保田悠介選手も5位入賞して地元ファンを沸かせました。

さらに、翌週・3月25日のJCLプロロードレースツアー開幕戦「カンセキ真岡芳賀ロードレース」ではベトルス選手が優勝、中田選手が6位、ダイボール選手が8位という好成績で、26日の「カンセキ宇都宮清原クリテリウム」でも中田選手が3位表彰台を実現。チームランキングはダントツTOPに立っています。

この後は、5月の「ツアー・オブ・ジャパン(TOJ)」、6月の「ツール・ド・熊野」と、日本国内で開催されるUCI国際レースが続きます。

チーム史上最強のヴィクトワール広島、要注目です。さらなる活躍に期待して、みんなで応援しましょう!

取材・執筆:きたのまゆみ
【プロフィール】
ライター、東京都荒川区出身
在京中はスポーツを主なフィールドに、雑誌、新聞やウェブなどで取材・記事執筆。
広島移住後は、約2年間にわたりヴィクトワール広島のチーム運営スタッフとして企画広報を担当。現在は、タウン情報誌やウェブを中心に活動中。

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