2023.6.29

【ヴィクトワール広島】国際レース「ツアー・オブ・ジャパン」で過去最高の好成績

5月21〜28日、UCI国際レース「ツアー・オブ・ジャパン(TOJ)」が開催され、昨年に続き2度目の出場となったヴィクトワール広島は、チーム総合2位という好成績を収めました。

TOJは8日間に及ぶステージレースで、大阪・堺から東京まで、8つの都市で1日1レース(ステージ)ずつ行います。各ステージでの順位を競うのはもちろんですが、それに加えて、全日程の累計タイムによる総合順位も争われます。

また、上り坂が多いステージでは、コース上に設けられた「山岳ポイント」を上位で通過するたびに得点(ポイント)が加算され、合計点トップの選手に山岳賞が与えられます。

ヴィクトワール広島は、昨年のTOJで富士山ステージと個人総合ともに2位と健闘したベンジャミン・ダイボール選手(当時:Team UKYO SAGAMIHARA)、ポイント賞を獲得したレオネル・キンテロ選手(当時:マトリックスパワータグ)、国内プロリーグ・ジャパンサイクルリーグ(JCL)今季開幕戦Vのカーター・ベトルス選手と、キャプテンの阿曽圭佑選手、久保田悠介選手、平井杏周選手の6名で臨みました。

序盤は落車(転倒)や機材トラブルなどアクシデントが続きスロースタートとなりましたが、3日目、いなべステージでベトルス選手が優勝すると、6日目には富士山ステージでダイボール選手が2位で表彰台へ。7日目、相模原ステージでは、キンテロ選手が山岳賞を獲得しました。

キンテロ選手が強敵を圧倒し山岳賞を獲得

8日間の日程を終えて、結果はチーム総合2位。個人総合も、ダイボール選手が2位、キンテロ選手が6位、ベトルス選手が7位と3名がトップ10入りを果たしました。海外勢も参戦する国際レースでのこの好成績は、「快挙」と言っていいでしょう。

個人総合2位のダイボール選手(左端)

中山卓士監督も、期待を上回る結果に満足そうな笑顔を見せていました。

「全体的によくやれたと思います。ビックリです。今までのヴィクトワールではありえない結果ですから。

カーターは2人で逃げた(=集団から抜け出して先行した)あと、1人で逃げてそのまま…という立派な勝ち方でした。(いなべステージの)前日に落車していたので『もう終わりか』と思ったのですが、まったくそんなことはありませんでした。

相模原ステージは、チームブリヂストンサイクリング対ヴィクトワールの山岳賞争いが見どころとなっていましたが、相手も全員が強い選手という中、4回の山岳ポイントをすべてトップ通過して、レオが山岳賞を取りました。すごかったですね。

ファンの皆さんにも、ブリヂストントレイン(※1)とヴィクトワールトレインの戦いを楽しんでもらえたのではないでしょう

(※1)…電車の車両連結のように、同じチームの選手が縦に並んで走る状態。勝たせたいチームメイトを風の抵抗による負担から守るため、アシスト役の選手が前を走る。

山岳賞を獲得した相模原ステージでフィニッシュラインを通過する
キンテロ選手

チーム史上最強の布陣と言われる今季のヴィクトワール広島。TOJでの大躍進は、個々の力もさることながら、チームワークにより実現されたと中山監督は振り返ります。

「外国人選手3人の強さが光ったのはもちろんのこと、キャプテンの阿曽が指示を出すなどしてチームをまとめてくれる動きが目立ちました。とても良かったと思います。久保田と平井は主にアシストとして他の選手たちをサポートする役割を担っていたので、リザルトは決して良くありませんが、それは仕方のないこと。『アシストしながら自分も全レースを完走する』ということが大事だと思っていましたが、それは達成できたし、良い経験になったと思います。

ツール・ド・熊野(6月3・4日)は、TOJ直後で、雨の中を走ったりしたこともあって選手たちの調子が良くなく、結果は残せませんでした。でもジャパンカップへの招待は受けられそうかなという感触は得られたので、よかったです」

8日間に及ぶ過酷なステージレースの合間にリラックスした表情を見せるダイボール選手(左)とベトルス選手

国際レースへの参戦は、9月まで一旦休止。チームは、6月23日からの全日本選手権を経て、いよいよ7月にJCL広島大会を迎えます

「大会2日間とも、優勝したいです。それができないチームじゃないと思っています」

中山監督が自信をのぞかせるのは、訳があります。

強い選手を擁することももちろん重要ですが、自転車ロードレースは、チームメイトが協力しあいながら勝利を目指すチーム戦です。風の抵抗による消耗を避け、他チームと駆け引きをしながら数時間に及ぶ長丁場のレースを戦うには、チームワークが欠かせません。

チームの雰囲気の良さがうかがえる、TOJでの一場面

帰広後、久保田選手のSNSではキンテロ選手が「山岳賞を取れたのはみんなと練習したおかげ」と話したというエピソードが紹介され、新バイクを入手したベトルス選手は、自転車のメンテナンス等を担当するメカニック・伊藤界円氏とチーム、スポンサーへの謝辞を自身のSNSにつづっていました。そんなところからも、チームの状態の良さがうかがえます。今のヴィクトワール広島なら悲願とも言える地元優勝も目前と感じさせてくれます。

JCL広島大会は、7月8・9日。当日はぜひ会場で観戦・応援し、歓喜の瞬間をともに味わいましょう!

☆TOJリザルト詳細(TOJ公式サイト)https://toj.co.jp/2023/results

☆ヴィクトワール広島公式ウェブサイトhttps://victoirehiroshima.com

☆JCL広島大会情報(大会ホームページ)https://hiroshima-roadrace.com/2023/

取材・執筆:きたのまゆみ
【プロフィール】
ライター、東京都荒川区出身
在京中はスポーツを主なフィールドに、雑誌、新聞やウェブなどで取材・記事執筆。
広島移住後は、約2年間にわたりヴィクトワール広島のチーム運営スタッフとして企画広報を担当。現在は、タウン情報誌やウェブを中心に活動中。

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